遺産分割のやり直し・あとから見つかった財産
協議書を作ったあとで変えたいとき
遺産分割協議書を作ったあとで、知らなかった口座や土地が見つかったり、分け方を変えたくなったりすることがあります。見つかった財産だけを分けるのか、全体をやり直すのかで、手続きと税金が変わります。まず、どちらに当たるかを確かめます。
2026年10月に、民法・相続税法・国税通則法と、国税庁・法務省の案内で確かめました
要点
- あとから見つかった財産は、その財産だけを相続人全員で話し合って分ければよい。前の協議書は作り直さなくてよい
- 一度まとまった分割のやり直しは全員の合意が要る。分け直した分は、贈与や交換とみられて税金がかかることがある
- 相続税が増えるなら修正申告。調査の通知の前に自分から出せば、過少申告加算税はかからない
あとから財産が見つかったとき
- その財産だけを分ける:遺産分割は一部だけでもできるので(民法907条)、見つかった財産について相続人全員で話し合い、その財産だけの協議書を作ります。前の協議書は作り直さなくてかまいません
- 相続税を見直す:申告していて税額が増えるなら修正申告、合わせて基礎控除を超えて初めて申告が要るなら期限後申告をします
- 名義を変える:口座は金融機関、不動産は法務局で手続きします。不動産は、取得を知った日から3年以内に相続登記をします
話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所の調停で、その財産だけを分けることもできます(遺産分割でもめたとき)。財産の探し方は財産の探し方へ。
分け方をやり直したいとき
一度まとまった遺産分割は、原則として相続人全員の合意がなければやり直せません。全員で合意してやり直すこともできますが、税金では、最初の分割で各人のものになった財産を移したとみられ、贈与税や、譲渡所得の所得税がかかることがあります(名古屋国税局の文書回答)。やり直しで配偶者が取得した分は、配偶者の税額軽減も使えません。
例外は、最初の分割に無効や取消しの原因があったときです(だまされた・一部の相続人が加わっていなかったなど)。この場合は、やり直しも最初の遺産分割の続きとして扱われます。迷うときは、税理士か税務署に先に相談します。
相続税の手続き
| あとでわかったこと | すること | 加算税 |
|---|---|---|
| 税額が増える | 修正申告 | 調査の通知の前なら0%、通知のあとは5%、調査のあとは10% |
| 初めて申告が要る | 期限後申告 | 通知の前なら5%、通知のあとは10%、調査のあとは15%から |
| 税額が減る(分割がまとまった) | 更正の請求(知った日の翌日から4か月以内) | なし |
修正申告では、増えた税金は申告書を出した日までに納め、延滞税もかかります。分割がまとまった・遺留分の額が決まったなど相続税に特有の理由による修正申告は、延滞税の計算期間が短くなります(相続税法51条)。期限は相続税の更正の請求で日付から出せます。
預金と不動産の手続き
遺産分割の前でも、口座ごとの残高の3分の1に自分の法定相続分を掛けた額まで、1つの金融機関につき150万円を上限に、ひとりで払い戻しを受けられます(民法909条の2)。払い戻した分は、その人が分割で取得したものとして扱います(口座が凍結されたとき)。不動産は、法定相続分で登記したあとに分割がまとまって多く取得した人は、分割の日から3年以内に登記します(相続登記の期限)。
よくある質問
協議書に「あとで見つかった遺産は長男が相続する」と書いておけば安心ですか?
書くことはできますが、法務局の協議書の記載例にはない条項です。話し合いのときに分かっていたのに書かなかった高額な財産までは含まれないとした国税不服審判所の裁決(2015年)もあります。分かっている財産は1つずつ書くのが確実です。
やり直しで、母の取り分を増やせば相続税が減りますか?
減りません。やり直しで配偶者が取得した分は、配偶者の税額軽減の対象になりません(相続税法基本通達19の2-8)。分け直した分は、贈与税がかかることもあります。
申告のあとで預金が見つかりました。加算税はかかりますか?
税務署から調査の通知が来る前に、自分から修正申告をすれば過少申告加算税はかかりません。延滞税はかかります(2026年は2か月までは年2.8%、そのあとは年9.1%)。
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