家族の事情
連絡がとれない相続人がいるとき
不在者財産管理人と、失踪宣告
相続人の中に、長いあいだ連絡がとれず、どこにいるかわからない人がいると、遺産分割の話し合いができません。住所の調べ方と、不在者財産管理人・失踪宣告の手続きを、家庭裁判所の案内をもとにまとめました。
2026年10月に裁判所・法務省・外務省・国税庁の公式ページで確認しました確かめ方
要点
- まず戸籍の附票で住所を調べる。それでも行方がわからなければ、家庭裁判所に不在者財産管理人を申し立てる
- 管理人が遺産分割に加わるには、さらに家庭裁判所の許可(権限外行為許可)が要る
- 生死が7年わからないときは失踪宣告を申し立てられる。宣告されると、亡くなったものとみなされる
ふつうの相続と違うところ
- 住所がわからないときは、まず戸籍の附票の写しをとって、住民票上の住所を調べる方法がある。(裁判所)
- 住んでいた所を離れて戻る見込みのない相続人(不在者)がいるときは、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てる。選ばれた管理人が、不在者に代わって遺産分割協議に加わる。(裁判所)
- 管理人が遺産分割をするには、さらに家庭裁判所の「権限外行為許可」が要る(管理人の本来の権限は財産を保つことが中心のため)。この申立ては管理人がする。(裁判所)
- 管理人の仕事は遺産分割が済んでも終わらず、不在者が現れる・失踪宣告がされる・亡くなったことがわかる・財産がなくなる、などまで続く。報酬は家庭裁判所の判断で不在者の財産から払われる。(裁判所)
- 生死が7年間わからないとき(普通失踪)は、家庭裁判所に失踪宣告を申し立てられる。宣告されると、法律上は亡くなったものとみなされる。(裁判所)
- 失踪宣告では、生死がわからなくなって7年が満ちた時に亡くなったとみなされ、その人の相続が始まる。宣告が確定したら、申立人は10日以内に市区町村へ失踪の届出をする。(裁判所)
進め方
- 戸籍の附票の写しをとって、住民票の住所を調べます。住所がわかれば手紙を送ります(住んでいるのに返事がないだけなら、不在者財産管理人ではなく、遺産分割調停を使います)
- 住所にもおらず、戻る見込みがないときは、その人の元の住所地の家庭裁判所に、不在者財産管理人の選任を申し立てます
- 選ばれた管理人が、家庭裁判所の権限外行為許可を受けてから、遺産分割の話し合いに加わります
- 管理人の仕事は、遺産分割が済んだあとも、不在者が見つかる・失踪宣告がされるなどまで続きます
失踪宣告は、家庭裁判所の調査のあと、3か月以上の期間を決めて官報などで生存の届け出を促し、届け出がなければ宣告されます。宣告されると、生死がわからなくなって7年が満ちた時に亡くなったものとみなされ、その人の相続が始まります。宣告が確定したら、申し立てた人は10日以内に市区町村へ届け出ます。
家庭裁判所の手続き
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 手続き | 不在者財産管理人選任 |
| 申し立てる人 | 利害関係人(不在者の配偶者、相続人にあたる人、債権者など)、検察官 |
| 申し立てる先 | 不在者の従来の住所地または居所地の家庭裁判所 |
| 費用 | 収入印紙800円分と連絡用の郵便切手(額は裁判所ごとに異なる)。不在者の財産では管理の費用(管理人の報酬を含む)が足りないおそれがあるときは、申立人が予納金を納めることがある(額の公式の目安はない) |
| おもな書類 |
|
期間の目安:失踪宣告は、家庭裁判所調査官の調査のあと、3か月以上(危難失踪は1か月以上)の期間を決めて官報などで生存の届出を促し、届出がなければ宣告される。不在者財産管理人の選任にかかる期間の公式の目安はない。(裁判所)
不在者財産管理人の権限外行為許可
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 手続き | 不在者財産管理人の権限外行為許可 |
| 申し立てる人 | 不在者財産管理人 |
| 申し立てる先 | 不在者財産管理人を選任した家庭裁判所 |
| 費用 | 収入印紙800円分と郵便切手(額は裁判所ごとに異なる) |
| おもな書類 |
|
失踪宣告
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 手続き | 失踪宣告 |
| 申し立てる人 | 利害関係人(不在者の配偶者、相続人にあたる人、財産管理人、受遺者など) |
| 申し立てる先 | 不在者の従来の住所地または居所地の家庭裁判所 |
| 費用 | 収入印紙800円分、連絡用の郵便切手(額は裁判所ごとに異なる)、官報公告料5,298円(裁判所の指示があってから納める) |
| おもな書類 |
|
使えるツールと相談先
手続きの書き方は家庭裁判所の家事手続案内で、法律の相談は法テラスや弁護士会の法律相談センターでできます。住んでいる地域の家庭裁判所は地域の窓口を探すで探せます。
よくある質問
行方がわからない相続人を除いて、遺産分割できますか?
できません。遺産分割は相続人全員でする必要があるので、不在者財産管理人の選任などの手続きをします。
予納金はいくらかかりますか?
不在者の財産で管理の費用(管理人の報酬を含む)が足りないおそれがあるとき、申し立てた人が予納金を納めることがあります。額は事案ごとに家庭裁判所が決め、公式の目安はありません。
次に使うと便利なページ
- 遺産分割でもめたとき特別受益・寄与分と、調停の費用・期間
- 前の結婚の子がいる相続前の結婚の子も相続人。連絡のとり方と調停
- 相続人がいないとき相続財産清算人・特別縁故者の期限と費用
- 海外に住む相続人がいるとき印鑑証明の代わりのサイン証明と、在留証明
「遺産を分ける・相続税」のほかのページ(17)
- 法定相続分の計算だれが、どれだけ相続するか
- 代襲相続・数次相続孫・甥・姪の取り分を計算
- 法定相続情報一覧図の作成相続関係説明図も、A4で印刷・PDF保存
- 遺留分の計算いくら請求できる?割合と期限
- 相続放棄の手続き続柄ごとの必要書類・費用・3か月の期限
- 相続税の計算基礎控除と、税金の目安
- 相続税の申告は自分でできる?難しさの判定と、必要な申告書の表
- 路線価で土地の評価額奥行・間口・角地の補正と、小規模宅地
- 相続税で引ける葬式費用引けるもの・引けないものを仕分け
- 二次相続の相続税配偶者の割合ごとに、2回分の合計を比べる
- 生前贈与の計算暦年と精算課税の比較、足し戻される期間
- 株・証券口座の相続評価額の計算と、口座の探し方
- 公正証書遺言の費用公証人手数料(2025年10月改定後)を計算
- 遺言書の検認必要かどうか・費用・書類
- 子どものいない夫婦の相続相続人は配偶者と、親か兄弟姉妹
- 相続人に認知症の人がいるとき成年後見の申立てと、費用・期間
- 未成年の相続人がいるとき特別代理人の選任と、未成年者控除
ほかの分類のページ(34)
亡くなってすぐ
- 相続の手続きナビわが家に必要な手続きを、期限順にチェック
- 相続の手続きと期限亡くなった日から、期限を日付で
- モデルケースで見る、親が亡くなってからの1年父78歳・母と子2人の例で、期限とお金を通しで
- 口座凍結と仮払いの計算遺産分けの前に、1人で引き出せる額
- 葬祭費・埋葬料と受け取れるお金地域ごとの額と、戻ってくるお金の一覧
- 葬祭費の地域差86市・23区・47都道府県の額の一覧
年金・保険・税金
- 遺族年金の計算いくら・いつまで受け取れるか
- 寡婦年金と死亡一時金自営業の夫が亡くなったとき、どちらが得か
- 未支給年金の計算何月分・いくら受け取れるか
- 死亡保険金の税金はどれ?相続税・所得税・贈与税を、契約の形から判定
- 準確定申告亡くなった人の確定申告。要否と戻る税金の目安
実家・土地・車
- 相続した実家、どうする?売る・貸す・住む・空き家で持つの比べ方
- 実家を売ったときの手取り税金と手数料を引いて残る額
- 空き家の固定資産税住宅用地の特例が外れたら、いくら上がるか
- 相続登記を自分でする必要な書類と費用。司法書士に頼む場合と比べる
- 相続登記の登録免許税名義変更の税金と、免税
- 土地を国に引き取ってもらう費用審査手数料と負担金
- 相続した田畑・山林の届出農業委員会・市町村への届出の期限
- 相続した車の手続き名義変更・売る・廃車の書類と手数料
- 遺品整理の進め方と費用いつから・何から・業者の選び方
法要・お墓・家族
- 法要の日程計算四十九日・一周忌などの日付と六曜
- お彼岸・お盆・初盆はいつ?亡くなった日から初盆の年と、お彼岸の日付
- 喪中の判定喪中はいつまで・どこまで、喪中はがきの時期
- 喪中のお正月初詣・お歳暮・寒中見舞いはいつ?
- 納骨とお墓・墓じまいお墓の種類と費用、墓じまいの手順
- 姻族関係終了届(死後離婚)出すと変わること・変わらないこと
そのほか
このページの更新日: