おひとりさま・子のいない人の準備
亡くなったあとのことを、元気なうちに頼んでおく
一人暮らしの人や、子のいない人は、亡くなったあとの手続きや財産の行き先を、元気なうちに決めておくと、周りの人も自分も安心です。頼んでおけること・その方法・費用と、新しく始まる国の支えを、公的な資料をもとに並べます。
2026年10月に、内閣官房などのガイドライン・法務省・厚生労働省・日本公証人連合会の公式ページで確かめました
要点
- 亡くなったあとの手続きは「死後事務委任契約」で、財産の行き先は「遺言」で、判断が難しくなったときは「任意後見」で頼んでおく
- 子のいない人は、兄弟姉妹やおい・めいが相続人になる。兄弟姉妹には遺留分がない
- 頼れる身寄りがいない人への新しい支援が、2028年6月までに始まる
死後事務委任契約
自分が亡くなったあとの手続きを、生きているうちに頼んでおく契約です。頼める内容の例は、亡くなったことの確認と連絡、死亡届と火葬、葬儀、納骨や永代供養、費用の精算、病室や家財の片付け、役所の手続きなどです(高齢者等終身サポート事業者ガイドライン)。
- 契約書に「亡くなっても契約は終わらず、相続人が受け継ぐ」と書いておくのが望ましいとされています
- 事業者に頼むときは、支援の内容・預けるお金(預託金)の扱い・残ったお金の扱いを、契約書ではっきりさせます。事業者への遺贈をサービスの条件にするのは避けるべきとされています
- 携帯電話や電気・ガス・水道の解約は、頼まれた人ではできない場合があるので、前もって会社に確かめておきます
- 亡くなった人の所得税の申告(準確定申告)は頼めません。申告するのは相続人です
- 公証役場で公正証書にでき、2025年10月から作成手数料はふつうの半分です
賃貸の部屋を借りる60歳以上の一人暮らしの人のために、亡くなったあとの賃貸借契約の解除と家財の片付けを頼んでおく契約のひな形が、国土交通省と法務省から出ています(国土交通省)。
任意後見
判断する力があるうちに、認知症などに備えて、自分で選んだ人に、してほしいことを契約で決めておく制度です。公正証書で結び、判断する力に心配が出てきたときに、家庭裁判所が任意後見監督人を選んで効力が生じます(厚生労働省)。公証役場の作成手数料は1契約13,000円で、ほかに法務局への印紙代などがかかります(日本公証人連合会)。
2026年6月に公布された民法などの改正で、家庭裁判所が直接監督できる場合ができるなど、任意後見も見直されます(施行は公布から2年6か月以内)。認知症の人がいる相続は認知症の相続人がいるときへ。
遺言
だれが相続人になるか
子も、父母・祖父母もいない人が亡くなると、兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹が先に亡くなっていれば、その子(おい・めい)が代わりに相続しますが、おい・めいの子には引き継がれません。配偶者がいれば、配偶者が4分の3、兄弟姉妹全員で4分の1です。兄弟姉妹(おい・めい)には遺留分がなく、相続税は2割加算されます(独身の兄弟姉妹が亡くなったとき)。
相続人がいないときは、家庭裁判所が選ぶ相続財産清算人が清算し、特別縁故者への分与のあとに残った財産は国のものになります(相続人がいないとき)。
新しく始まる支え
2026年6月に公布された社会福祉法などの改正で、頼れる身寄りがいない高齢者などに、日常生活・入院や入所の手続き・亡くなったあとの事務を支援する事業が、社会福祉事業として位置づけられます(厚生労働省)。社会福祉協議会に限らず、さまざまな団体が担えるようにし、資力の要件に当てはまる人は無料か低い料金で使えるようになります。
- 新しい事業が始まるのは、公布から2年以内に政令で決める日です(遅くとも2028年6月まで。2026年10月時点で日付は未定)
- 身寄りのない高齢者などの相談を、地域包括支援センターなどの相談の対象としてはっきりさせる改正は、2027年4月1日からです
- 今も、判断する力が十分でない人は、社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」で、福祉サービスの利用の手伝いや日々のお金の管理を頼めます(亡くなったあとの事務は扱いません)
よくある質問
亡くなったあとの手続きを、だれかに頼んでおけますか?
死後事務委任契約で頼めます。亡くなったことの連絡、死亡届や火葬、葬儀・納骨、費用の精算、部屋の片付け、役所の手続きなどです。公正証書にでき、2025年10月から作成手数料はふつうの半分になりました。ただし、亡くなった人の所得税の申告(準確定申告)は、死後事務委任では頼めません。
身寄りがないと、病院や施設に入れませんか?
病院や介護施設が、身元保証人がいないことだけを理由に入院・入所を断るのは適当でないとされています(国のガイドライン)。困ったときは、市区町村や地域包括支援センターに相談できます。
子がいない夫婦は、どちらかが亡くなると全部配偶者が相続しますか?
亡くなった人の父母(いなければ祖父母)か、兄弟姉妹(先に亡くなっていれば、おい・めい)も相続人になります。兄弟姉妹には遺留分がないので、「全部を配偶者に」という遺言があれば、そのとおりにできます(子のいない夫婦の相続)。
遺言がなく、相続人もいないと、財産はどうなりますか?
家庭裁判所が選ぶ相続財産清算人が、借金を払うなどの清算をし、残った財産は国のものになります。生計を同じくしていた人や療養看護をした人は、特別縁故者として分けてもらうよう申し立てられます。お世話になった人や団体に渡したいときは、遺言で決めておきます。
次に使うと便利なページ
関係する書類の書き方:遺言書の保管申請書の書き方
- 親が元気なうちに聞いておくこと口座・保険・年金・借金・スマホ・遺言のありか(印刷できる)
- 独身の兄弟姉妹が亡くなったとき兄弟姉妹・甥姪が相続人。2割加算・遺留分なし・賃貸の部屋
- 子どものいない夫婦の相続相続人は配偶者と、親か兄弟姉妹
- 相続人がいないとき相続財産清算人・特別縁故者の期限と費用
- 公正証書遺言の費用公証人手数料(2025年10月改定後)を計算
「法要・お墓・家族」のほかのページ(16)
- 法要の日程計算四十九日・一周忌などの日付と六曜
- 四十九日法要の案内状の文例お寺・自宅・納骨も一緒に・家族だけで行ったとき
- お彼岸・お盆・初盆はいつ?亡くなった日から初盆の年と、お彼岸の日付
- 喪中の判定喪中はいつまで・どこまで、喪中はがきの時期
- 喪中はがきの文例続柄・状況ごとの文例と、出す時期
- 香典返しのお礼状の文例仏式・戒名入り・神式・キリスト教・寄付したとき
- 喪中はがきが届いたら喪中見舞い・寒中見舞いの文例と、年賀状を出してしまったとき
- 寒中見舞いの文例喪中のときに出す・喪中の人へ出す・年賀状のお返し
- 忌中はいつまで?忌中表(続柄ごとの日数)と、忌中に控えること
- 喪中のお正月初詣・お歳暮・寒中見舞いはいつ?
- 納骨とお墓・墓じまいお墓の種類と費用、墓じまいの手順
- 改葬許可申請書の書き方墓じまい・お墓の引っ越しで、遺骨がある市区町村に出す(記入例つき)
- 公営霊園の合葬墓・樹木葬政令市と都立霊園の費用・申込の時期
- 姻族関係終了届(死後離婚)出すと変わること・変わらないこと
- 姻族関係終了届の書き方亡くなった配偶者の親族との関係を終わらせる届け(記入例つき)
- 遺言書の保管申請書の書き方自分で書いた遺言書を、法務局に預ける(自筆証書遺言書保管制度)(記入例つき)
ほかの分類のページ(99)
亡くなってすぐ
- 相続の手続きナビわが家に必要な手続きを、期限順にチェック
- 死亡届の書き方左側を家族が書き、右側は医師が書く1枚の用紙(記入例つき)
- 相続の手続きと期限亡くなった日から、期限を日付で
- 期限を過ぎてしまったとき過ぎるとどうなるか、まだできること
- 年末年始に亡くなったとき死亡届・火葬場・役所や銀行の休み
- モデルケースで見る、親が亡くなってからの1年父78歳・母と子2人の例で、期限とお金を通しで
- 口座凍結と仮払いの計算遺産分けの前に、1人で引き出せる額
- 葬祭費・埋葬料と受け取れるお金地域ごとの額と、戻ってくるお金の一覧
- 葬祭費の地域差86市・23区・47都道府県の額の一覧
- おくやみコーナーの一覧86市と東京23区のどこにあるか・予約制か
- 1か所で済むもの・別に連絡が要るものおくやみコーナーと、相手ごとに電話の前に用意するもの
- 公営斎場の火葬料金政令市と東京の公営斎場の、市民・市外の料金
年金・保険・税金
- 遺族年金の計算いくら・いつまで受け取れるか
- 遺族年金の請求書の書き方遺族厚生年金・遺族基礎年金を請求する年金請求書(記入例つき)
- 残された家族の毎月のお金一方が亡くなった後の年金を、月ごとに比べる
- 寡婦年金と死亡一時金自営業の夫が亡くなったとき、どちらが得か
- 国民年金の死亡一時金請求書の書き方国民年金を納めた人が、年金を受けずに亡くなったとき(記入例つき)
- 未支給年金の計算何月分・いくら受け取れるか
- 未支給年金の請求書の書き方欄ごとの書き方と、添付書類
- 埋葬料の申請書の書き方会社の健康保険(協会けんぽ)の人が亡くなったとき(記入例つき)
- 仕事中・通勤中に亡くなったとき労災の遺族年金・葬祭料と、死亡退職金
- 亡くなった方の勤め先での手続き最後の給与・死亡退職金・弔慰金の税金と、会社に返すもの
- 死亡保険金の税金はどれ?相続税・所得税・贈与税を、契約の形から判定
- 受け取るお金と税金の早見表相続税・所得税・非課税のどれか
- 準確定申告亡くなった人の確定申告。要否と戻る税金の目安
- 準確定申告書の書き方亡くなった人の確定申告を相続人が出すときの書き方(記入例つき)
- 準確定申告の付表の書き方相続人が2人以上で、亡くなった人の確定申告をするとき(記入例つき)
- 医療費控除の明細書(準確定申告)の書き方亡くなった人の医療費控除。亡くなったあとに払った分は入らない(記入例つき)
- 亡くなった人のお金の後始末住民税・保険料の精算と、戻ってくるお金の期限
遺産を分ける・相続税
- 遺産の一覧表財産と借金を書き出して、合計と相続税の目安
- 財産と借金の探し方口座・不動産・保険・株・借金を公的に調べる費用と日数
- 相続時預貯金口座照会の申込書の書き方マイナンバーにひもづいた口座を、まとめて調べてもらう(記入例つき)
- 所有不動産記録証明書の請求書の書き方亡くなった人の名義の不動産を、全国から一覧にしてもらう(記入例つき)
- 遺産分割協議書の書き方相続人全員で決めた分け方を書く。相続登記・相続税の申告などで使う(記入例つき)
- 相続にかかるお金の総額実費・専門家の報酬・相続税をまとめて
- 法定相続分の計算だれが、どれだけ相続するか
- 代襲相続・数次相続孫・甥・姪の取り分を計算
- 法定相続情報一覧図の作成相続関係説明図も、A4で印刷・PDF保存
- 法定相続情報一覧図の申出書の書き方一覧図の写しを無料でもらうために法務局に出す(記入例つき)
- 相続関係説明図の書き方相続登記で戸籍の原本を返してもらうための家系図(記入例つき)
- 戸籍の集め方要る戸籍と、広域交付で取れる人・費用の目安
- 遺産分割でもめたとき特別受益・寄与分と、調停の費用・期間
- 代償分割の計算実家を1人が継ぐとき、ほかの相続人に払うお金
- 家族会議の進め方遺産分割の話し合いの準備・議題・もめやすいところ
- 遺留分の計算いくら請求できる?割合と期限
- 相続放棄の手続き続柄ごとの必要書類・費用・3か月の期限
- 相続放棄するか決める期限・してはいけないこと・次の順位の人
- 相続放棄申述書の書き方欄ごとの書き方と、添付する戸籍
- 相続税の計算基礎控除と、税金の目安
- 相続税の申告は自分でできる?難しさの判定と、必要な申告書の表
- 相続税の申告書(第1表)の書き方どの表から何を書き写すかと、主な欄の書き方(記入例つき)
- 相続税の納め方と、払えないとき期限・納め方・延滞税・延納と物納
- 相続税を払いすぎたとき(更正の請求)期限は5年・分割は4か月、特例をあとから使う
- 路線価で土地の評価額奥行・間口・角地の補正と、小規模宅地
- 相続税で引ける葬式費用引けるもの・引けないものを仕分け
- 二次相続の相続税配偶者の割合ごとに、2回分の合計を比べる
- 生前贈与の計算暦年と精算課税の比較、足し戻される期間
- 株・証券口座の相続評価額の計算と、口座の探し方
- 遺言書の検認必要かどうか・費用・書類
- 遺言書の検認の申立書の書き方自筆の遺言書は、開けずに家庭裁判所で検認を受ける(記入例つき)
- 前の結婚の子がいる相続前の結婚の子も相続人。連絡のとり方と調停
- 相続人に認知症の人がいるとき成年後見の申立てと、費用・期間
- 未成年の相続人がいるとき特別代理人の選任と、未成年者控除
- 海外に住む相続人がいるとき印鑑証明の代わりのサイン証明と、在留証明
- 連絡がとれない相続人がいるとき不在者財産管理人と、失踪宣告
実家・土地・車
- 相続した実家、どうする?売る・貸す・住む・空き家で持つの比べ方
- 実家を持ち続ける費用固定資産税・保険・管理費を1年・10年で
- 実家を売ったときの手取り税金と手数料を引いて残る額
- 空き家の固定資産税住宅用地の特例が外れたら、いくら上がるか
- 相続人代表者指定届(固定資産税)の書き方固定資産税の書類を受け取る代表者を、市区町村に届け出る(記入例つき)
- 空き家の解体補助金政令市と東京23区の補助の額・条件
- 相続登記を自分でする必要な書類と費用。司法書士に頼む場合と比べる
- 自分でやるか、頼むか相続登記・相続税を、自分・定額サービス・専門家で比べる
- 相続登記の申請書の書き方遺産分割で不動産を相続した人が法務局に出す(2026年10月5日以降の様式)(記入例つき)
- 相続人申告登記の申出書の書き方相続登記の期限に間に合わないときに、義務を果たすための申出(記入例つき)
- 相続登記の期限の判定2024年4月より前の相続は2027年3月31日まで
- 相続登記の登録免許税名義変更の税金と、免税
- 住宅ローンと団信団信の手続きと、抵当権の抹消
- 土地を国に引き取ってもらう費用審査手数料と負担金
- 相続土地国庫帰属の承認申請書の書き方相続した要らない土地を、国に引き取ってもらう申請(記入例つき)
- 相続した田畑・山林の届出農業委員会・市町村への届出の期限
- 相続した車の手続き名義変更・売る・廃車の書類と手数料
- 遺品整理の進め方と費用いつから・何から・業者の選び方
そのほか
- Japanese inheritance tax(英語)外国籍の人と日本の相続税の英語の説明
- Heirs living outside Japan(英語)海外に住む相続人の書類の英語の説明
- When a family member dies in Japan(英語)外国籍の家族向けの英語の説明
- やさしい日本語家族が亡くなったときの手続き(ふりがなつき)
- よくある質問の一覧各ページの質問と答えを、分類ごと・言葉で探せる
- データを使う方へ調べた数字のCSVと、出典の書き方
- 書類の書き方出す書類の書き方と、届く書類の見方の一覧
- このサイトを紹介してくださる方へ紹介文の例と、掲示用のA4の案内
- スマホ・ネットのサービスの相続デジタル遺品の手続きを20のサービスごとに
- 銀行・証券・保険会社の相続の窓口42社の受付のしかたを公式ページで確認
- 地域の窓口を探す都道府県ごとの年金事務所・法務局・家庭裁判所・税務署
- 相続の用語集よく出てくる言葉を短く説明
- 計算ツールをサイトに貼る葬儀社・士業・ブログの方向け。無料・広告なし
- ご遺族に渡す手続きの一覧葬儀社・お寺・病院の方向け・A4で印刷できる1枚
- 数字で見る相続相続税がかかる割合・相続放棄・遺言の件数(公的統計)
- 制度が変わったところ相続登記・住所変更登記の義務化、生前贈与、遺族年金
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