相続税の納め方と、払えないとき
期限・納め方・延納と物納
相続税は、財産を受け取った人ごとに税額が決まり、それぞれが申告と同じ期限までに納めます。亡くなった日と自分が納める額を入れると、納める期限、使える納め方と手数料、遅れたときの延滞税を出します。
2026年10月に、国税庁の案内(相続税の申告のしかた 令和8年分用・延納と物納の手引)で確かめた割合です
要点
- 相続税は、申告と同じ期限(亡くなったことを知った日の翌日から10か月)までに、お金で一度に納めるのが原則
- 申告しても納付書は届かない。窓口・e-Tax・クレジットカード・コンビニ(300,000円以下)などで、自分で納める
- 一度に納められないときは延納(分けて納める)、それも難しいときに物納。どちらも期限までに申請する
納め方
| 納め方 | 上限 | 手数料 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 金融機関・税務署の窓口(納付書) | なし | なし | 領収証書が出る。税務署の受付は9時〜15時 |
| ダイレクト納付(e-Tax) | なし | なし | 前もって届出が要る(使えるまでオンラインで1週間ほど) |
| ネットバンキング・ATM | なし | なし | e-Taxで申告データを送るか、納付情報を登録して番号を受け取る |
| クレジットカード | 1,000万円未満(カードの限度額まで) | 1万円までごとに99円 | 手続き後は取り消せない。領収証書は出ない |
| スマホアプリ | 300,000円以下 | なし | e-Taxで申告などをしたあと、e-Taxから専用サイトに入る |
| コンビニ(QRコード) | 300,000円以下 | なし | 国税庁のサイトでQRコードを作り、ローソン・ファミリーマートなどで現金で |
国税庁「国税の納付手続」。申告書の出し先・納め先は、亡くなった方の住所地の税務署です(相続人の住所地ではありません)。
納付書の書き方
納付書は税務署が用意したものを使い、黒のボールペンで枠の中に書きます。コピーした納付書は機械で読めず、確かめに時間がかかることがあります(国税庁の記載要領)。
- 税目:国税庁の見本では、税目番号「050」、税目「相続税」
- 納期等の区分・申告区分:納付書の裏面を見て書きます。見本では申告区分の「確定申告」に○
- 金額:「本税」の欄に納める額を書き、「合計額」の頭に「¥」をつけて同じ額を書きます
- 住所・氏名:亡くなった方の住所・氏名と、納める相続人の住所・氏名(フリガナ)・電話番号
2026年9月下旬から、窓口で渡す納付書の様式が少し変わりました(「整理番号」が「お問い合わせ番号又は法人番号」に)。前の様式も、当分のあいだ使えます。申告書の書き方は相続税の申告書(第1表)の書き方へ。
遅れたとき・ほかの人が払わないとき
期限までに納めないと、期限の翌日から納めた日までの日数に応じて延滞税がかかります。2026年中の期間は、2か月までが年2.8%、2か月を過ぎた分が年9.1%です。もとの税額は1万円未満を切り捨て、延滞税は100円未満を切り捨て、1,000円未満なら納めなくてかまいません(国税庁 No.9205)。
ほかの相続人が相続税を納めないとき、財産を受け取った人は、自分が受け取った利益の額を限度に、代わりに納める義務を負います(連帯納付義務、相続税法34条)。税務署から「納付通知書」が届き、2か月たっても納めないと督促状が届きます。延納の許可を受けた分などは対象外です。
延納(分けて納める)
相続税が100,000円を超え、お金で一度に納めるのが難しい理由があるときに、その難しい額の範囲で、何年かに分けて納められます。申告の期限までに延納申請書と担保の書類を出し、許可を受けます。延納する額が1,000,000円以下で、期間が3年以下なら担保は要りません(国税庁 No.4211)。
| 相続した財産のうち不動産等の割合 | 延納できる期間(最長) | 利子税(本来) | 利子税(2026年の特例) |
|---|---|---|---|
| 75%以上 | 不動産等の分20年・動産等の分10年 | 3.6%・5.4% | 0.6%・0.9% |
| 50%以上75%未満 | 不動産等の分15年・動産等の分10年 | 3.6%・5.4% | 0.6%・0.9% |
| 50%未満 | 5年 | 6% | 1% |
延納できる額は、期限の日にある現金・預貯金などから、家族の3か月分の生活費と事業の3か月分の運転資金を引いた「お金で納められる額」を、納める額から引いて出します。割合は毎年変わるので、申請の前に税務署で確かめます。2025年度は、相続税の延納の申請が1,342件、許可が891件でした(国税庁)。
物納(財産で納める)
延納でもお金で納めるのが難しいときに限って、相続した財産そのもので納められます。申告の期限までに物納申請書と書類を出します(国税庁 No.4214)。
- 納められる財産の順番:第1順位は不動産・国債・上場株式など、第2順位は非上場株式など、第3順位は動産。後の順位は、前の順位にちょうどよい財産がないときに限られます
- 納められない財産の例:担保に入っている不動産、境界がはっきりしない土地、ほかの人と共有の不動産など
- 国が受け取る価額:原則として、相続税の計算に使った価額(小規模宅地等の特例を使った土地は、使ったあとの価額)
- かかる費用:登記・境界標・測量などの準備と、許可までの固定資産税などは、申請した人が負担します
2025年度は、相続税の物納の申請が48件、許可が40件でした。延納の途中で払えなくなったときは、申告の期限から10年以内なら、残りを物納に切り替えられることがあります(特定物納)。
ほかの手段と、売ったときの特例
- 換価の猶予・納税の猶予:一度に納めると生活や事業が続けられないときや、病気・災害などのときは、税務署に申請すると、原則1年以内で猶予されることがあります。相続税には延納もあるので、どちらを使うかは早めに税務署に相談します(国税庁 No.9206)
- 相続した不動産を売って納めるとき:相続税の申告の期限の翌日から3年以内(亡くなってからおよそ3年10か月以内)に売ると、払った相続税の一部を取得費に足せます(取得費加算の特例)。空き家の3,000万円の特別控除とは一緒に使えません(実家を売ったときの手取り)
よくある質問
申告書を出せば、税務署から納付書が届きますか?
届きません。相続税は、申告と同じ期限までに、自分で納めます。納付書は税務署や金融機関にあり、なければ亡くなった方の住所地の税務署に問い合わせます。e-Taxで申告した人は、ダイレクト納付やネットバンキングでも納められます。
相続人の1人が相続税を払わないと、ほかの人も払うことになりますか?
なります。財産を受け取った人は、自分が受け取った利益の額を限度に、ほかの相続人の分を代わりに納める義務を負います(連帯納付義務)。自分の分を納め終わっていても対象です。税務署から「納付通知書」が届いたら、それに従って納めます。
遺産のほとんどが不動産で、お金が足りません。
まず、期限までにお金で納められる額を確かめ、足りない分は延納(分けて納める)を考えます。相続税が100,000円を超え、お金で一度に納めるのが難しい理由があれば申請できます。それでも難しいときに限って、物納(財産そのもので納める)を申請できます。どちらも申告の期限までの申請が要ります。
納めるのが遅れたら、どうなりますか?
期限の翌日から、延滞税が自動でかかります。2026年中の期間は、2か月までが年2.8%、2か月を過ぎた分が年9.1%です。このページで、遅れた日数ごとの延滞税を計算できます。
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